こんにちは。shiroshiroです。
本日はそーせいに限らず、全バイオベンチャーのパイプラインを見ていきます。
そーせいだけ見るでも良いかもしれませんが、他の企業も見てみましょう。
以前、「バイオ株と研究開発費」で各企業の時価総額と研究開発費に触れたので、それにも関連付けて話を進めます。
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2022年12月期のそーせいグループ(業績・IR)
そーせいグループ株式会社の業績とおもなIRについてまとめています。 Q1決算短信 Q2決算短信 Q3決算短信 Q4決算短信 2021年12月期のそーせいグループ(業績・IR) 2022年12月期業績 ...
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見出し
・時価総額1000億円超のPLは?
・大混戦の中小型バイオは?
・筆者の正直な感想
時価総額1000億円超のPLは?
時価総額1000億円越えのバイオ企業は、前回記事より、ペプチドリーム、タカラバイオ、JCRファーマ、そーせいグループ、サンバイオといった具合です。
今回も、パイプラインの線引きに一応のルールをつけますが、
・”化合物別”で分類(適応症は分かれても一つとする)
・表記は各社パイプライン表にのっとる
・複数ターゲットあっても1行なら一つとする(ペプチ除く)
という線引きで行きます。まずは、大型企業からです。
銘柄名 コード |
説明 資料 |
時価 総額 (億円) |
研究 開発 (億円) |
個数 | パイプライン |
ペプチ ドリーム (4587) |
URL | 6,838 | 9.2 | 93 | ・ターゲット特定~ヒット化合物42個 ・リード化合物36個 ・前臨床試験対応化合物10個 ・臨床候補化合物4個 ・臨床試験第1相1個 |
タカラ バイオ (4974) |
URL | 2,472 | 43.4 | 3 | ・C-REV(TBI-1401)EPLICANA(悪性黒色腫、すい臓がん、全疾患) ・CD19(TBI-1501)(成人急性リンパ芽球性白血病) ・NY-ESO-1(TBI-1301)(滑膜肉腫・固形がん) |
JCR ファーマ (4552) |
URL | 2,032 | 43.5 | 10 | ・JR-141(ハンター症候群) ・JR-162(ポンペ病) ・JR-171(ハーラー症候群) ・JR-441(サンフィリッポ症候群A型) ・JR-131(腎性貧血) ・JR-401X(SHOX異常症) ・JR-142(成長障害) ・JR-041(不妊治療) ・JR-031EB(表皮水疱症) ・JTR161/IR-161(急性期脳梗塞) |
そーせい グループ (4565) |
URL | 1,809 | 53.8 | 25 | ・QVM149(喘息) ・A2A拮抗薬(複数の固形がん・EGFRm非小細胞肺がん) ・M1作動薬(アルツハイマー病) ・M4作動薬(アルツハイマー病) ・M1/M4デュアル作動薬(アルツハイマー病) ・単一ターゲット(疼痛) ・複数ターゲット(複数) ・複数ターゲット(炎症性疾患) ・CXCR4抗体(がん免疫) ・単一ターゲット(がん免疫) ・単一ターゲット(炎症性疾患) ・オレキシン作動薬(ナルコレプシー) ・オレキシン作動薬(ナルコレプシー) ・M1作動薬(レビー小体型認知症) ・mGlu5NAM(神経系疾患) ・SSTR作動薬(内分泌疾患) ・CGRP拮抗薬(片頭痛) ・GLP-1拮抗薬(代謝性疾患) ・GLP-2作動薬(腸管不全) ・Orexin-1拮抗薬(コカイン使用障害) ・Apelin作動薬(肺動脈性高血圧症) ・GPR35作動薬(炎症性腸疾患) ・EP4作動薬(炎症性腸疾患) ・H4拮抗薬(アトピー性皮膚炎) ・PAR2抗体(アトピー性皮膚炎) |
サンバイオ (4592) |
URL | 1,790 | 37.2 | 5 | ・SB623(外傷性脳損傷(慢性期)、脳梗塞(慢性期)、脳出血(慢性期)、加齢黄斑変性(ドライ型)、網膜色素変性、パーキンソン病、脊髄損傷、アルツハイマー病) ・SB618(末梢神経障害等) ・SB308(筋ジストロフィー等) ・MSC1(がん疾患) ・MSC2(炎症性疾患) |
各社強烈に個性が出ています。
ペプチドリームは化合物出しが得意で93個と圧倒的です。
タカラバイオは試薬と創薬の両輪で回していますので、数は少なめです。JCRファーマが10件、そーせいが25件(このルールだと)、サンバイオは5件になりました。
いまのサンバイオは再生医療SB623の一本足打法に比較的近いですから、それで37.2億円というのもなかなか大きいです。
各社の特徴をよく考えて、比較すると勉強になると思います。
大混戦の中小型バイオは?
次に残りのバイオベンチャーです。
銘柄名 コード |
説明 資料 |
時価 総額 (億円) |
研究 開発 (億円) |
個数 | パイプライン |
ヘリオス (4593) |
URL | 884 | 42.7 | 4 | ・HLCM051(脳梗塞、急性呼吸窮迫症候群) ・HLCR011(滲出性加齢黄斑変性) ・HLCL041(代謝性肝疾患) ・HLCR012(萎縮型加齢黄斑変性) |
アンジェス (4563) |
URL | 765 | 25.4 | 5 | ・HGF遺伝子治療薬AMG0001注射剤(重症虚血肢、末梢性血管疾患) ・NF-κBデコイオリゴAMG0101軟膏剤(アトピー性皮膚炎) ・NF-κBデコイオリゴAMG0101注射剤(椎間板性腰痛症) ・DNAワクチンAGMG0201(高血圧) ・NF-κBデコイオリゴ(皮膚疾患) |
ジーエヌアイ グループ (2160) |
URL | 481 | 5.3 | 4 | ・アイスーリュイ(結合組織失陥を伴う間質性肺疾患、放射線性肺炎、糖尿病腎症) ・F351(肝線維症) ・F573(急性肝不全、慢性肺不全急性時) ・タミパロテン(急性前骨髄急性白血病) |
メディシノバ (4875) |
URL | 444 | 6.1 | 3 | ・MN-166(ALS/バイオマーカー、化学療法誘発性末梢神経障害、グリオブラストーマ、覚せい剤依存症、アルコール依存症) ・MN-001(NASH・NAFLD・高中性脂肪症) ・PF(特発性肺線維症) |
新日本科学 (2395) |
URL | 290 | 3.4 | 0 | ー |
ジャパン・ ティッシュ・ エンジニアリング (7774) |
URL | 290 | 6.1 | 7 | ・ジェイズ(先天性表皮水疱症) ・メラノサイトACE02(尋常性白斑) ・同種培養表皮(Ⅱ度熱傷) ・ジャック(低侵襲化・手技簡便化、二次性変形性膝関節症) ・自家CAR-T細胞(急性リンパ性白血病) ・角膜上皮EYE01M(角膜上皮幹細胞疲弊症(片目性) ・口腔粘膜COMET(角膜上皮幹細胞疲弊症(両眼性) |
ラクオリア 創薬(4579) |
URL | 285 | 10.7 | 9 | ・RQ-00000004テゴプラザン(胃食堂逆流症) ・RQ-0000000ジプラシドン(統合失調症) ・RQ-00000007ガリプラント(変形性関節症、自己免疫疾患・アレルギー・がん) ・RQ-00000008EP-4拮抗薬(変形性関節症・自己免疫疾患他、疼痛・炎症) ・RQ-00000009 5-HT4部分作動薬(アルツハイマー病) ・RQ-00317076シクロオキシゲナーゼ-2阻害薬(急性痛) ・選択的ナトリウムチャネル遮断薬(鎮痛・鎮痒) ・RQ-00466479 P2X7受容体拮抗薬(神経障害性疼痛) ・特定のイオンチャンネル(消化器領域) |
オンコリス バイオファーマ (4588) |
URL | 278 | 7.2 | 6 | ・OBP-301テロメライシン(食道がん、メラノーマ、肝細胞がん) ・OBP-702(固形がん) ・OBP-801HDAC阻害剤(固形がん、眼科領域) ・OBP-601(HIV) ・OBP-AI-004(B型肝炎) ・がん検査薬OBP-401/1101テロメスキャン(各種がん) |
カルナバイオ サイエンス (4572) |
URL | 266 | 11.1 | 10 | ・SRA141(がん) ・AS-0871(免疫炎症疾患) ・AS-1763(血液がん・がん免疫) ・Wnt-signal低分子化合物(がん・がん免疫) ・キナーゼ低分子化合物(精神神経疾患) ・TGFβ signaling低分子化合物(血液がん・がん免疫) ・キナーゼ低分子化合物(免疫炎症疾患) ・N/A低分子化合物(マラリア) ・DGK低分子化合物(がん免疫) ・非開示低分子化合物(がん) |
ソレイジア・ ファーマ (4597) |
URL | 180 | 14.6 | 4 | ・SP-01Sancuso(悪心・嘔吐) ・SP-02darinaparsin(末梢性T細胞リンパ腫) ・SP-03医療機器エピシル口腔溶液(口内炎疼痛緩和) ・SP-04PledOx(末梢神経障害) |
ジーンテクノ サイエンス (4584) |
URL | 172 | 9.5 | 13 | ・GBS-004ベバシズマブ(がん) ・GBS-005アダリムマブ(免疫疾患) ・GBS-007(眼疾患) ・GBS-008パリビズマブ(感染症) ・GBS-010ベグフィルグラスチム(がん) ・GBS-011ダルベエボエチンアルファ(腎疾患) ・GND-001抗ヒトα9インテグリン抗体(免疫疾患・がん) ・GND-004抗RAMP2抗体(眼科疾患、がん) ・GND-007(免疫疾患) ・GCT-101顎裂治療薬(口唇口蓋裂) ・JRM-001心臓内幹細胞(心機能の改善) ・免疫寛容誘導(自己免疫疾患、臓器移植、アレルギー) ・骨髄間葉系幹細胞(糖尿病性腎症) |
オンコ セラピー・ サイエンス (4564) |
URL | 167 | 28.3 | 8 | ・OTS167(MELK(白血病)・MELK(乳がん)) ・OTS964等(TOPK) ・S-588410(食道がん・膀胱がん) ・S-488210(頭頸部がん) ・S-588210(固形がん) ・OTSGC-A24(胃がん) ・OTSA101(滑膜肉腫) ・KHK6640(アルツハイマー型認知症) |
リプロセル (4978) |
URL | 159 | 2.7 | 0 | ー |
ナノキャリア (4571) |
URL | 158 | 1.8 | 3 | ・NC-6004シスプラチンミセル(すい臓がん、非小細胞肺がん・胆道がん・膀胱がん、頭頸部がん) ・NC-6300エピルビシンミセル(軟部肉腫) ・NK105パクリタキセルミセル(乳がん・胃がん) |
シンバイオ 製薬(4582) |
URL | 152 | 18.3 | 6 | ・トレアキシンFD(再発・難治性 中高悪性度NHL(r/rDLBCL) ・トレアキシンRTD(全適応症) ・トレアキシンRI(全適応症) ・トレアキシン経口剤(進行性固形がん、全身性エリテマトーデスSLE) ・リゴセルチブ注射剤(再発・難治性 高リスクMDS) ・リゴセルチブ経口剤(再発・難治性 高リスクMDS、未治療高リスクMDS) |
スリー・ ディー・ マトリックス (7777) |
URL | 143 | 5.6 | 5 | ・吸収性局所止血剤(TDM-621) ・後出血予防剤 ・次世代止血剤(TDM-623) ・癒着防止剤(TDM-651) ・内視鏡粘膜下注入材(TDM-644) |
ファーマ フーズ (2929) |
URL | 139 | 2.7 | 3 | ・抗体医薬品(自己免疫疾患) ・抗FSTL1抗体(悪性腫瘍) ・リプロタイト(骨形成不全症) |
窪田製薬 ホール ディングス (4596) |
URL | 138 | 24.8 | 5 | ・エミクススタト塩酸塩(スターガルト病、増殖糖尿病網膜症) ・化合物2(白内障・老眼) ・化合物3(糖尿病黄斑浮腫・ウェット型加齢黄斑変性) ・ヒトロドプシン(網膜色素変性) ・超小型モバイルOCT(網膜、光干渉断層撮影機器) |
デ・ ウエスタン・ セラピテクス 研究所(4576) |
URL | 114 | 8.0 | 8 | ・グラナテック点眼薬(緑内障) ・H-1129(緑内障・高眼圧症) ・H-1337(緑内障・高眼圧症) ・K-134() ・DW-1002(内境界膜剥離、内境界膜染色、白内障手術) ・眼科用鎮痛剤(手術後の疼痛) ・未熟児網膜症治療薬(未熟児網膜症) ・シグナル伝達阻害剤開発プロジェクト(眼科関連疾患・神経・循環器・呼吸器系疾患) |
ブライトパス バイオ(4594) |
URL | 111 | 13.9 | 4 | ・GRN-1201(非小細胞肺がん、メラノーマ) ・iPS由来再生NKT細胞(頭頸部がん) ・完全個別化ワクチン(各種固形がん) ・免疫調整因子抗体(各種固形がん) |
リボミック (4591) |
URL | 110 | 6.1 | 8 | ・RBM-007(滲出型加齢黄斑変性症AMD、軟骨無形成症、疼痛) ・RBM-004(疼痛) ・RBM-003(心不全) ・RBM-010(変形性関節症) ・RBM-006(線維症) ・RBM-001(非開示) ・RBM101(抗体・免疫グロブリン) ・Fc融合タンパク質の分離精製) |
DeltaFly Pharma( 4598) |
URL | 79 | 3.8 | 6 | ・DFP-10917(再発・難治急性骨髄性白血病) ・DFP-14323(肺がん等) ・DFP-11207(固形がん) ・DFP-14927(固形がん・血液がん) ・DFP-10825(腹膜播種移転がん・胃がん・卵巣がん) ・DFP-17729(固形がん) |
メディネット (2370) |
URL | 73 | 15.0 | 4 | ・MDNT01(膝軟骨損傷) ・ATL-DC-101(成人T細胞白血病) ・研究中(東大・腎細胞がん・食道がん) ・研究中(東大・肺がん) |
セルシード (7776) |
URL | 70 | 4.3 | 2 | ・食道再生上皮シート(食道がん) ・軟骨再生シート(軟骨欠損、変形性膝関節症) |
コスモ・ バイオ (3386) |
URL | 68 | 0.7 | 0 | ー |
カイオム・ バイオ サイエンス (4583) |
URL | 66 | 12.3 | 6 | ・ADCT-701(がん) ・CBA-1205(がん) ・CBA-1535(がん) ・LIV-2008/2008b(がん) ・BMAA(糖尿病黄斑浮腫ほか) ・創薬研究プロジェクト(がん・感染症・中枢神経) |
メドレックス (4586) |
URL | 66 | 9.8 | 6 | ・CPN-101チザニジン(痙性麻痺治療添付剤) ・MRX-1OXTオキシコドン(中枢性鎮痛添付剤) ・MRX-5LBTリドカイン(帯状疱疹後神経疼痛治療添付剤) ・MRX-7MLLメマンチン(アルツハイマー治療薬) ・第一三共との共同開発 ・武田への技術ライセンス |
キャンバス (4575) |
URL | 53 | 4.2 | 5 | ・CBP501((固形がん) ・CBS9106(固形がん) ・CBP-A(ペプチド型抗がん剤) ・CBP-B(ペプチド型免疫系抗がん剤) ・IDO/TDO阻害剤(IDT/TDO阻害) |
UMN ファーマ (4585) |
URL | 46 | 4.7 | 4 | ・UMN-101(季節性インフルエンザ) ・UMN-102(新型インフルエンザ) ・UMN-103(ロタウイルス胃腸炎) ・UMN-104(ノロウイルス胃腸炎) |
テラ (2191) |
URL | 43 | 2.9 | 1 | ・WT1ペプチドパルス樹状細胞TLP0-001(すい臓がん) |
フェニックス バイオ (6190) |
URL | 26 | 3.5 | 0 | ー |
※「-」のところはリンク資料の中でよくわからなかったため、お茶を濁す表現を取っています。
※リンクの資料時点でのパイプライン表を参考にしている為、最新情報とは誤差がある恐れがあります。
この中では、何が目立つでしょうか…
ヘリオスはPL4本で開発費40億円と高めです。再生医療はお金がかかる?ちょっとよくわかっていませんので、今後の勉強項目です。
アンジェスと窪田製薬の開発研究費も20億越えしてて、Ⅲ相があるからかわかりませんが、本数の割に高いかなと。
ちなみに、開発研究費はパイプラインが進捗すればするほど膨れ上がります。バイオの経験が浅い方は、開発費/本数のような計算は足元をすくわれる可能性があるので気を付けてください。
あと大物株主がいるという点で言えば、ラクオリア、リボミックの資料をのぞいてみると参考になることがあるかもしれません。
筆者の正直な感想
ということで、全社のパイプラインを並べてみました。
この記事書いてまず思うこと、それはがんターゲットが非常に多いことでした。ついで、アルツハイマー、加齢黄斑変性症もよく出てきています。
がんなら当然とは思うのですが、こんなに多いと差別化などの点で激戦区であることは間違いありません。
パイプラインの独自性を見極めをと思いますが、正直なところ、わたしもレベルが低く、大したことは申し上げられません。
筆者自身もこのページから勉強を積まないといけないです。バイオ初心者の方が、このページを参考に企業探しに役立ててくれるようでなら、大変幸いです。
おわり