こんにちは。shiroshiroです。
本日は手つかずだったQVM149販売編です。今回は色々と調べました。
ここからご覧になっている方は、先に申請〜承認編と承認〜販売編を見るのがおススメです。
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記事が2分割か3分割になるかもしれません。あらかじめご了承ください。
見出し
・ウルティブロ他の実績
・GSK製品の売上推移
・GSK製品解説
ウルティブロ他の実績
まずそーせいの上市薬、ウルティブロとシーブリの販売実績から見ていきましょう。
毎四半期、導出先のNovartis社から情報をもらってリリースしていますが、すべてつなぐと下表のようになります。
※単位 百万ドル
ウルティブロ | 1-3月 | 4-6月 | 7- 9月 | 10-12月 | 通年 |
2019年 | 104 | - | - | - | - |
2018年 | 106 | 116 | 110 | 122 | 454 |
2017年 | 91 | 99 | 101 | 120 | 411 |
2016年 | 78 | 100 | 95 | 90 | 363 |
2015年 | 52 | 66 | 66 | 76 | 260 |
2014年 | 14 | 22 | 31 | 51 | 118 |
2013年 | - | - | - | 6 | 6 |
シーブリ | 1-3月 | 4-6月 | 7- 9月 | 10-12月 | 通年 |
2019年 | 31 | - | - | - | - |
2018年 | 38 | 39 | 34 | 37 | 148 |
2017年 | 36 | 36 | 37 | 42 | 151 |
2016年 | 35 | 39 | 37 | 38 | 149 |
2015年 | 37 | 38 | 38 | 37 | 150 |
2014年 | 30 | 37 | 37 | 42 | 146 |
2013年 | - | - | - | 25 | 25 |
2018年の通年で言えば、ウルティブロ(454)+シーブリ(148)=602百万ドルとなりました。
これに対して、そーせいのロイヤリティ収入を確認していきます。決算短信に記載のある2017年以降で表にしますと、四半期別で下表のようになりました。
※単位 百万円
ロイヤリティ収入 | 1-3月 | 4-6月 | 7- 9月 | 10-12月 | 通年 |
2019年 | 576 | - | - | - | - |
2018年 | 508 | 626 | 585 | 824 | 2543 |
2017年 | - | 586 | 690 | 777 | - |
ロイヤリティ収入は 製品の売り上げ × ロイヤリティ(%) で決まります。この%は非常に重要です。
そこで、非常に乱暴ですが、ロイヤリティ収入(百万円)÷{(ウルティブロ+シーブリの売上)×ドル為替レート}でロイヤリティを逆算しました。
ロイヤリティ | 1月-3月 | 4月-6月 | 7月- 9月 | 10月-12月 | ドルレート |
2019年 | 4.0% | - | - | - | 1ドル108円 |
2018年 | 3.2% | 3.6% | 3.7% | 4.7% | 1ドル111円 |
2017年 | - | 3.8% | 4.4% | 4.2% | 1ドル113円 |
……何と言いますか、非常によくわからないものが出来上がりましたね…
なぜここまで%にぶれがあるのでしょうか。
ウルティブロは合剤で、シーブリは単剤なので、ロイヤリティの違いはあると思いますし、つい最近、率の見直しも行われたと聞きますが、あまり質の良い結果ではなさそうです。参考程度にしてください。
今後も引き続き精査していきます。
GSK製品の売上推移
次にライバル社の売り上げを見ていきましょう。COPD、ぜんそく薬は多くの大企業がしのぎを削っています。
今回は代表的な薬を持つ、グラクソスミスクライン(以下GSK)、アストラゼネカ(以下AZ)、メルク、ベーリンガーインゲルハイム(以下BI)、ノバルティスの5社をピックアップします。
ただし、全社を1記事で紹介すると、とても収まりませんので、まずはGSK社の製品から始めます。
下表がその製品と売上一覧です。
※単位 百万€ | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 |
Seretide/Advair | 48 | 208 | 850 | 1631 | 2214 | 2461 | 3003 | 3313 | 3499 | 4137 | 4977 | 5139 | 5061 | 5046 | 5274 | 4229 | 3681 | 3485 | 3130 | 2422 |
Flixotide/Flovent | 666 | 880 | 915 | 783 | 705 | 618 | 638 | 659 | 621 | 677 | 775 | 804 | 813 | 779 | 796 | 702 | 623 | 637 | 596 | 595 |
Serevent | 569 | 622 | 645 | 523 | 433 | 349 | 330 | 291 | 269 | 263 | 236 | 201 | 182 | 145 | 129 | |||||
Flixonase/Flonase | 333 | 408 | 504 | 534 | 594 | 578 | 656 | 311 | 199 | 186 | 171 | 164 | 138 | 133 | 110 | |||||
Relvar/Breo Ellipta | 67 | 257 | 620 | 1006 | 1089 | |||||||||||||||
Anoro Ellipta | 79 | 201 | 342 | 476 | ||||||||||||||||
Nucala/Mepolizumab | 102 | 344 | 563 | |||||||||||||||||
Trelegy Ellipta | 2 | 156 | ||||||||||||||||||
他 | 766 | 671 | 623 | 516 | 471 | 409 | 427 | 421 | 444 | 554 | 818 | 930 | 1104 | 1188 | 1207 | 1183 | 1101 | 1465 | 1571 | 1627 |
合計 | 2382 | 2789 | 3537 | 3987 | 4417 | 4415 | 5054 | 4995 | 5032 | 5817 | 6977 | 7238 | 7298 | 7291 | 7516 | 6181 | 5741 | 6510 | 6991 | 6928 |
だいぶ大規模な図になりました。ソースはすべてGSK社のアニュアルレポートから来ています。(苦労しました)
そして一般論として、この図から何が言えるでしょうか?
Seretide/Advair(商品名:セレタイドもしくはアドエア)の売り上げが急上昇して、GSKの呼吸器部門を大幅に伸ばしていますね。しかし、2013年以降は下落の一途です。
代わりの商品が補うように頑張っていますが、かつての7,516百万ユーロという莫大な売り上げには回復しきれていません。いったんグラフの上を切りまして、下を見てみましょう。
アドエアの穴を埋めるべく、奮闘しようとしているのが、「レルベア/ブレオ エリプタ」、「アノーロ エリプタ」「ヌーカラ/メポリズマブ」「テリルジー エリプタ」です。
アドエア(青線)の飛び出し具合がすごくて、他の4つが小さく見えますね。埋めているけど、埋め切れていないというべきでしょうか。
次の章で、アドエア+4製品の簡単な解説をしたいと思います。
GSK製品解説
なお、ぜんそく・COPDを語る際に、吸入ステロイド薬(ICS)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)という単語がありますが、ここでは説明を省略させてください。代わりにこちらのサイトを参照して頂ければと思います。
5剤の関係性ですが、簡単にはこのようになります。
・セレタイド/アドエア…ICS・LABA合剤 1日2回
・レルベア/ブレオ エリプタ…ICS・LABA合剤 1日1回
・アノーロ エリプタ…LAMA・LABA合剤 1日1回
・ヌーカラ/メポリズマブ…ヒト抗IL-5(インターロイキン5)モノクローナル抗体 重症喘息用
・テリルジー エリプタ…ICS・LABA・LAMA 3合剤 1日1回
なお、そーせいの場合、
・シーブリ…LAMA単剤 1日1回
・ウルティブロ…LAMA・LABA合剤 1日1回※国による
という具合で、アノーロはウルティブロと完全に競合していますね。あとは、ヒトモノクローナル抗体を使ってぜんそくを直すというのは驚きです。高価そうに見えるのですが、この図では順調に伸びています。
アドエアの後継ですと、アノーロ、テリルジ―のどちらかなのですが、やはり3合剤のテリルジ―でしょうか。まだCOPD薬で喘息適応を取っていないですので、そこはQVM149にとっても大きなポイントになっていきます。
つづく