こんにちは。shiroshiroです。
バイオベンチャーと研究開発費は非常に重要な関係があります。
なぜなら大半のバイオベンチャーは収入がありません。その中で多額の研究を行えば、あっという間に資金が尽きてしまいます。かといって、研究をしないわけにはいきません。
そーせいの田村CEOはバイオベンチャーでうちほどに研究開発費を投じている会社はないと自負しています。が、実際気になったので確認してみました。
見出し
・全バイオベンチャーの研究開発費を比較しよう
・グラフにしてわかる意外な事実
・攻めすぎ?攻めなさすぎ?
全バイオベンチャーの研究開発費を比較しよう
下図が、個人的に選定するバイオベンチャーの研究開発費ランキングです。研究開発費は前期末の数字から、時価総額は昨日6/30時点の数字を使っています。
ひとまず首位はそーせいグループでした。今年は減るかもしれませんが、それでもこのグループの中ではトップクラスですね。
続く企業がJCRファーマとタカラバイオ。この二つはベンチャーと呼ぶべきかわかりませんが、40億以上を投資しています。
それに対抗するのがヘリオスとサンバイオです。この辺りは上市薬がありませんので、販売による収入が期待できません。その中でのこの投資額です。相応のリスクを承知しての判断でしょう。
コード | 銘柄名 | 研究開発費 (億円) |
時価総額 (億円) |
4565 | そーせいグループ | 53.8 | 1,809 |
4552 | JCRファーマ | 43.5 | 2,032 |
4974 | タカラバイオ | 43.4 | 2,472 |
4593 | ヘリオス | 42.7 | 884 |
4592 | サンバイオ | 37.2 | 1,790 |
4564 | オンコセラピー・サイエンス | 28.3 | 167 |
4563 | アンジェス | 25.4 | 765 |
4596 | 窪田製薬ホールディングス | 24.8 | 138 |
4582 | シンバイオ製薬 | 18.3 | 152 |
2370 | メディネット | 15.0 | 73 |
4597 | ソレイジア・ファーマ | 14.6 | 180 |
4594 | ブライトパスバイオ | 13.9 | 111 |
4583 | カイオム・バイオサイエンス | 12.3 | 66 |
4572 | カルナバイオサイエンス | 11.1 | 266 |
4579 | ラクオリア創薬 | 10.7 | 285 |
4586 | メドレックス | 9.8 | 66 |
4584 | ジーンテクノサイエンス | 9.5 | 172 |
4587 | ペプチドリーム | 9.2 | 6,838 |
4576 | デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 8.0 | 114 |
4588 | オンコリスバイオファーマ | 7.2 | 278 |
4591 | リボミック | 6.1 | 110 |
4875 | メディシノバ | 6.1 | 444 |
7774 | ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング | 6.1 | 290 |
7777 | スリー・ディー・マトリックス | 5.6 | 143 |
2160 | ジーエヌアイグループ | 5.3 | 481 |
4585 | UMNファーマ | 4.7 | 46 |
7776 | セルシード | 4.3 | 70 |
4575 | キャンバス | 4.2 | 53 |
4598 | DeltaFlyPharma | 3.8 | 79 |
6190 | フェニックスバイオ | 3.5 | 26 |
2395 | 新日本科学 | 3.4 | 290 |
2191 | テラ | 2.9 | 43 |
2929 | ファーマフーズ | 2.7 | 139 |
4978 | リプロセル | 2.7 | 159 |
4571 | ナノキャリア | 1.8 | 158 |
3386 | コスモ・バイオ | 0.7 | 68 |
グラフにしてわかる意外な事実
とりあえず、そーせいの研究開発費が首位ということで、田村CEOの発言がうそではないことが確認できたところで、時価総額×研究開発費でグラフを作成して、各社の特徴を見てみましょう。
やはり、先ほど取り上げた会社が、時価総額・研究開発費で頭一つ抜けていますね。マラソンで言う所の一団を形成しています。
そして左下のグループは何が何だかわかりません。数が多すぎてだんご状態になっています。こちらはあとで拡大してみましょう。
……あれ?ペプチドリームさん、おひとりで何をされていますか?
はい。このグラフを作って一番目立つのはペプチドリームです。時価総額6,838億円に対して、研究開発費9.2億円。ソレイジアやブライトパスよりも低いことになります。
ペプチドリームを悪く言いたいがために、このように言っているわけではありません。ペプチドリームの場合は設備投資額が大きいです。24億円使っています。ちなみに、そーせいは21億円、JCRファーマは15億円、タカラバイオは60億円です。(フォローになってないかもしれない)
また、ペプチドリームはPDPSという化合物作成プラットフォームを売りにしていて、かなり早期の段階で他社と契約し、自社での治験を行わない方針を取っています。意図的にやっているわけですね。(ペプチドリームがそーせいほかの一団並みにお金かけたら、赤転する。)うまい戦略だと思います。
次に、だんご状態のグループを拡大してみましょう。
時価総額上はアンジェスが抜けつつ、オンコセラピー・サイエンス、窪田製薬が25億円越えをしています。
その他は、多少の特徴は見いだせるものの、様々に散らばっていますね。この一団の中から、次なる成長株を見出さなければならないでしょう。"投資を時価総額に変えられる企業"ということになります。
攻めすぎ?攻めなさすぎ?
今回の調査の中で、気になったことがありまして、一つ確認を行いました。「研究開発費 ÷ 時価総額」という計算をするとどうなるかです。
その回答が下図ですが、首位からメディネット、カイオム、窪田製薬となりました。
みなさんはこの数字を見てどのように感じますか?
メディネットの場合、5年間これを続けると、時価総額分のお金を使うことになります。会社の時価総額を食い尽くすかのようです。(メディネットは10億程度の売上高がありますので、実際は少し違いますが)
仮に上位にあっても、現金が十分にあれば問題ないと思います。しかし、もしそうでなければ、「研究開発にお金を投じすぎ」、「ファイナンスリスクが高い」と言えるでしょう。
銘柄コード | 銘柄名 | 研究÷時価 |
2370 | メディネット | 20.6% |
4583 | カイオム・バイオサイエンス | 18.6% |
4596 | 窪田製薬ホールディングス | 18.0% |
4564 | オンコセラピー・サイエンス | 16.9% |
4586 | メドレックス | 14.8% |
6190 | フェニックスバイオ | 13.3% |
4594 | ブライトパスバイオ | 12.5% |
4582 | シンバイオ製薬 | 12.1% |
4585 | UMNファーマ | 10.2% |
4597 | ソレイジア・ファーマ | 8.1% |
4575 | キャンバス | 8.0% |
4576 | デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 7.0% |
2191 | テラ | 6.7% |
7776 | セルシード | 6.2% |
4591 | リボミック | 5.6% |
4584 | ジーンテクノサイエンス | 5.5% |
4593 | ヘリオス | 4.8% |
4598 | DeltaFlyPharma | 4.8% |
4572 | カルナバイオサイエンス | 4.2% |
7777 | スリー・ディー・マトリックス | 3.9% |
4579 | ラクオリア創薬 | 3.8% |
4563 | アンジェス | 3.3% |
4565 | そーせいグループ | 3.0% |
4588 | オンコリスバイオファーマ | 2.6% |
4552 | JCRファーマ | 2.1% |
7774 | ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング | 2.1% |
4592 | サンバイオ | 2.1% |
2929 | ファーマフーズ | 2.0% |
4974 | タカラバイオ | 1.8% |
4978 | リプロセル | 1.7% |
4875 | メディシノバ | 1.4% |
2395 | 新日本科学 | 1.2% |
4571 | ナノキャリア | 1.1% |
2160 | ジーエヌアイグループ | 1.1% |
3386 | コスモ・バイオ | 1.0% |
4587 | ペプチドリーム | 0.1% |
そして、ぶっちぎりの最下位はペプチドリームでした。攻めなさすぎです。
※なお最後に、このランキングは、特定の株の売り推奨、買い推奨を意図して作ってはおりません。データ上そのようになったということをお伝えするために作成されたものです。その他の要素がありますので、投資は多角的に見て、ご判断をお願いします。
おわり