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アンジェスの下落から見る日本での薬価の決まり方~コラテジェン

こんにちは。shiroshiroです。

バイオ株に触れている方なら、2019年8月のアンジェスの乱高下はご存知の方も多いと思います。

その時アンジェスの時価総額は1000億円に到達。しかしその後は大きく下落しました。

何が起こったのか確認しつつ、薬価の決まり方についてお話したいと思います。

見出し
・そもそも何が起きた?
・コラテジェンの価格の詳細は
・薬の算定方式はひとつじゃない?
・補正加算のしくみ

 

そもそも何が起きた?

2019年8月、アンジェスではある新薬の申請承認&上市(新薬として市場で販売されること)を控えて、株価が思惑買いにより大きく上昇しました。

最高値は965円。時価総額的にも1000億円に乗せる勢いを見せていたところに、突然のストップ安3連発。

この原因は一言でいえば、遺伝子治療薬コラテジェンの薬価が1回60万円と安かったことでした。

安いと何がまずいでしょうか?薄利多売も戦略の一つでは?

と言いたい所ではありますが、ここにおいてはそうもいかないお話になります。

 

理由として、

・そもそも患者が少ないこと
・薬価の安くなったことで利幅が薄くなってしまったこと

この2点が大きな要因となり、アンジェスの業績への寄与が小さいと判断されたことから売られてしまいました。

 

ではなぜこの薬価になってたのか、ここではその判定プロセスを確認してみることにしましょう。

 

コラテジェンの価格の詳細は

日本における医薬品の公定価格(薬価)の決定は、厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会(略称:中医協)によって開かれる、定例会議の中で決まります。

各協議会の詳細は、厚生労働省のホームページに載っていますので、どなたでも閲覧が可能です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html

今回の薬価決定が第421回承認取得は第411回に登場しています。

まずはコラテジェンの決定資料を確認していきましょう。

第421回の「○再生医療等製品の保険適用について」の部分に存在します。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000540832.pdf

・算定方式 : 原価計算方式
・製品総原価: 437,582円
・営業利益 : 76,615円(流通経費除く価格の14.9%)
・流通経費 : 41,692円
・消費税  : 44,471円
・補正加算 : なし
・外国平均価格調整 : なし
・算定薬価 : 4mg1.6mL1瓶 600,360円

【市場規模予測】
・予測年度 : (ピーク時)令和10年度
・予測本罪投与患者数 : 992人
・予測販売金額 : 12億円

営業利益(流通経費を除く価格の14.9%) & 補正加算なし というのがどうしても辛い。

多額の治験も行って、それで出てきた結果は大型テレビの原価構造のような、何とも申し上げづらい内訳です。

どうしてこのような価格になったのでしょうか?

 

薬の算定方式はひとつじゃない?

まず一つ言えることとして、新薬の算定方式は1つではありません。現時点で以下の3方式が存在します。

①類似薬効比較方式(Ⅰ)
②類似薬効比較方式(Ⅱ)
③原価計算方式(←コラテジェンはここ)

これらを分ける基準となるものは、「類似薬の有り無し」「新規性の有り無し」の2つです。

具体的に図で見てみましょう。

下図は平成28年度薬価基準制度の改定時の資料です。(最新は平成30年度ですが良い資料が無く、異なる部分がある点は容赦ください。)


※引用元 H28.11.30厚生労働相保健局医療課 「現行の薬価基準制度について」P.5(602KB)

分類はある意味単純です。

類似薬:有、新規性:有で「①類似薬効比較方式(Ⅰ)」

類似薬:有、新規性:無で「②類似薬効比較方式(Ⅱ)」

類似薬:無は「③原価計算方式」です。コラテジェンは③ですね。

 

①の場合は、さまざまな補正加算が入ります。「類似薬と比較して有用性が高いと認められる」場合には割増がかかるわけです。

②の場合は、「過去数年間の類似薬と比較して、最も低い価格」が適用されるようになっています。

③の場合は、特例的なルールと書かれているのですが、「類似薬が無い場合には、原材料費、製造経費等を積み上げる」としています。(同資料P.10)

そして、このスライドのピンクのバルーンですが、このように書かれています。

存治療と比較した場合の革新性や有効性、安全性の程度に応じて、営業利益率(現在14.6%)を-50%~+100%の範囲内でメリハリをつける。

つまり、モノに応じてボーナス付けますということですが…

営業利益率14.9%なので0.3%が割り増し分ということになります。だから1,500円ほどです。

(ちなみにオプジーボは27.0%。③原価計算方式で平均営利率16.9%(当時)の+60%適用です。)

 

ただし、平成30年度からなんとルールが変わりました。

③でも①相当の割り増しをしてもらえるようになったのです。最後はそこに触れていきましょう。

 

補正加算のしくみ

平成30年度薬価制度の改定の際には、イノベーションの評価が不十分だったことを受けて、③原価計算方式でも、①類似薬効比較方式(Ⅰ)と同等の加算要件を受けられるようになりました

※引用元 H30.03.05厚生労働相保健局医療課 「平成30年度 薬価制度の抜本改革の概要」P.21(2.57MB)

もともと、③原価計算方式では営業利益分しか補正がかからなかったのですが、これにより価格全体に補正がかかるようになり、より適切に評価が可能になったのです。

では、補正についてはどのような内容でしょうか。こちらも同資料内P.23に存在します。

いっぱいありますね。

すべてを解説するのは無理ですので、大胆に抜粋してしまいますが、

新規の作用機序を有すること
・既存治療に対し、高い有効性or安全性を有すること
・病気、けがの治療方法の改善が客観的に示されていること

希少疾病用医薬品であること
子どもに有効であると示されていること
先駆け審査指定制度の対象であること

という具合になっていると考えてください。

ではコラテジェンはどうだったかというと…残念ながらゼロでした。補正加算分はすべて無しです。

「国内初の遺伝子治療薬なんだから、何かしら加算されていいのでは?」と思う所なのですが、一番ありそうな新規の作用機序部分でも適用を受けることが出来ていません。

条件付き承認という部分が効いているのでしょうか?理由は謎です。

 

ただ、そうはいっても他の新薬の加算状況も良くて40%加算、あって5%加算、ゼロも相当数あります。元から相当に厳しい仕組みということなのかもしれません。

そうなりますと、仮に40%加算でも84万円?

市場はどのラインをコンセンサスとしていたのか…ここは触れないでおきましょう。

 

最後にまとめをして終わりたいと思います。

・コラテジェン1瓶60万円。営利14.9%、補正加算無し。
・算定方式は3種。類似薬、新規性が分類のポイント
①類似薬効比較方式(Ⅰ)、②類似薬効比較方式(Ⅱ)、③原価計算方式。
・平成30年度から③にも補正加算が適用。ただし①~③問わず、認定は厳しい。

こんな感じでしょうか。それでは本日もありがとうございました。

※最後に、オプジーボの初回薬価を見つけましたので貼っておきます。比較用にどうぞ。

うーむ、オプジーボすごい。最後まで見て頂いてありがとうございました。

おわり

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