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ラクオリア創薬、統合失調症薬ジプラシドン第Ⅲ相試験で有意差なし

こんにちは。shiroshiroです。

ラクオリア創薬から残念なニュースが飛び込んでまいりました。

統合失調症薬としてMeijiSeikaファルマ社に導出していた、ジプラシドン(Ziprasidone)の第Ⅲ相臨床試験で有意差なしと速報が出ました。

2019.09.06 適時開示
Meiji Seika ファルマ株式会社によって実施された日本の統合失調症患者を対象としたziprasidoneの第3相臨床試験の速報結果について
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ラクオリアについては上市品が今後売上収益につながっていくことから、少額ながら保有しておりました。

テゴプラザン、ガリプラント、エンタイスに続く4番目の上市品として期待していたのですが、実を結ばず…

 

この界隈では、筆者よりもラクオリアにずっと詳しいホルダーさんが多数いらっしゃいますので、業績等々について深く踏み込むのは控えておきます。

ここでは、「ジプラシドンとはどういう薬だったのか」「現段階で分かる情報の中で有意差なしの理由に何がありそうなのか」を考えてみることにしました。

詳細な情報が出ていませんので、答えなど存在することもないのですが、進めていきましょう。

 

ジプラシドンの経緯は?

まずはジプラシドンは長い歴史を持つ医薬品ですので、その経歴を確認しました。

1995年:第Ⅰ相治験開始(参考)

1998年7月16日:スウェーデンでの販売承認取得(商品名:ZELDOX)(参考)

~※この期間中、FDAからの懸念表明によって、多数の追加試験を実施~

2001年2月5日:米ファイザー社、ジプラシドン(商品名:GEODON®)米FDA承認取得(参考)

2008年8月3日:ファイザー(株)中央研究所が米ファイザー社より独立。ラクオリア創薬誕生(HP参考)
※ジプラシドンの日本での商業化の権利が譲渡される

2011年3月14日:Meiji Seikaファルマ統合失調症薬ジプラシドンに関するライセンス契約締結(Meiji Seika発表)
※日本でのジプラシドンの独占的な開発権および販売権を導出

2015年3月6日:ジプラシドン、日本での第Ⅲ相臨床試験開始(IR)

2019年9月6日:ジプラシドン、第Ⅲ相臨床試験での有意差なしの結果を発表(IR)

 

皮肉な話ですが、3相開始からちょうど4年半が経過しての有意差なし報告だったのですね。

なお、20年にわたる長期間の中で、新たに発生する副作用の影響を受けて、さまざまな追加試験が実施されています。

[IRより抜粋]
ziprasidoneは、21年間にわたる臨床試験や製造販売後の使用経験からベネフィット・リスクがすでに確立されています。ziprasidoneは、2万例以上に及ぶ患者で300万人年を超える曝露を通して、統合失調症や双極性障害に対する有効性が示されています。

積み重なって2万例とのことです。これほどのデータがありながら、なぜうまくいかなかったのかが最大のポイントと言えるでしょう。

有意差なしの理由は

ラクオリアおよびMeiji Seikaファルマの発表の中で、その手掛かりとなりそうな文章はこの二つ。

・本試験のプラセボ群では主要評価項目のPANSSスコアのベースラインからの変化量に大きな変動(大きなプラセボ効果)が見られました。

・ziprasidone投与群に新たな有害事象は認められませんでした。 

つまり、

・副作用で失敗したわけではない。
・プラセボ(偽薬)群で、病気が改善する大きな変動が出た。

ポイント

・プラセボ効果(Placebo Effect)…
効き目のあるくすりを服用していると本人が思い込むことによって、病状が改善されること。(参考)

というように読み取ることができそうです。(副作用という言葉は必ずしも正しくないですが、ご容赦ください。)

 

しかし、結局のところ、これ以上の言及はありませんでした。個人的には、あまり納得いくものではありません。

そう思う理由がもう一つあります。それは、第Ⅲ相開始IRの中に存在する一文

・2011年の時点で83か国で販売中。
・米国ガイドラインでは第一選択薬として登録されている。

という二つの事実があるためです。

 

これを読んでおられる方も、「なぜこれで失敗した!?」と感じると思います。筆者も同感です。

昨日、治験失敗の要因をいろいろ想像していました。

 

人種(黄色人種・白色人種・黒色人種)の違いで効果に差が出る場合がある。それが今回出た可能性。

②人種の違いで差が出ることから、用法、用量を日本人向けに変えて上手くいかなかった可能性。

③治験手法PANSS(ポジティブ・ネガティブシンドロームスケール)には評価側のトレーニング、キャリブレーションが必要。今回それが不十分だった可能性。

④治験の設計に失敗していた可能性。(評価不適格な方が入っていた etc)

⑤統計数値を大きくゆがめてしまう異常値が入った可能性(↑の文の大きなプラセボ効果など)

⑥日本人特有の性格、気質によって、統合失調症の評価がうまくできなかった可能性。(まじめな性格等々)

 

この辺りはわたしもすべて洗い出すつもりで、ざっくりと出しています。外していたり、別の理由の可能性もあるでしょう。

どれが本命というのもあまり考えておりません。どれもありますし、どれもないかもしれない。

この辺りを説明してほしかったのですが、待つしかありません。

 

せっかくですので、最後の章では、個人的に確認したものをご紹介します。

 

人種?用法・用量?その他の原因?

まずは、「83か国で販売中」というその国を調べることにしました。一応ヒットしたものがこちらです。

Drugs.com ”Ziprasidone"
https://www.drugs.com/international/ziprasidone.html

商品名が複数あるので、紛らわしいのですが、例えば「ZELDOX」「GEODON」で見てみますと…

「ZELDOX販売国」(アルファベット順)
・アルゼンチン、オーストラリア、ボスニアヘルツェゴビナ、ブルガリア、カナダ、チリ、クロアチア、チェコ、デンマーク、香港、アイスランド、イタリア、リトアニア、マレーシア、ニュージーランド、ノルウェー、ロシア、セルビア、シンガポール、スロバキア、韓国、スペイン、スウェーデン、ウルグアイ

「GEODON販売国」(アルファベット順)
・キプロス、ペルー、南アフリカ、ブラジル、コロンビア、ギリシャ、アイルランド、メキシコ、台湾、USA、ベネズエラ

という具合にたくさんあります。当然日本は存在しません。

ここでのポイントは何かというと、人種関係なくだいたいのエリアで販売されています。

モンゴロイド(黄色人種)、コーカソイド(白色人種)、オーストラロイドは入っています。ネグロイド(黒色人種:アフリカ大陸赤道付近)がこの国一覧にはなさそうですが、それは置いても、中国、韓国、台湾、マレーシアなどなど、アジア勢も入ってきています。

モンゴロイド人種の中で日本人だけ聞かない? そんなことがあったら逆に興味深いです。

 

次に、「用法・用量について」です。

これについては、現在のGEODONの処方情報と、日本で実施された治験の内容を比較しました。

「GEODON処方情報」
http://labeling.pfizer.com/ShowLabeling.aspx?id=584

-----DOSAGE AND ADMINISTRATION-----
Give oral doses with food. 食物と一緒に経口投与します。

・Schizophrenia: Initiate at 20 mg twice daily. Daily dosage may be adjusted up to 80 mg twice daily. Dose adjustments should occur at intervals of not less than 2 days. Safety and efficacy has been demonstrated in doses up to 100 mg twice daily. The lowest effective dose should be used.
・統合失調症:1日2回20 mgで開始します。毎日の投与量は、1日2回80 mgまで調整できます。投与量の調整は2日以上の間隔で行う必要があります。安全性と有効性は、1日2回最大100 mgの用量で実証されています。最低有効量を使用する必要があります。

「日本第Ⅲ相治験の処方」
https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/jp?trial_id=JapicCTI-152821

ME2112の急性増悪期統合失調症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較による検証的試験(第III相)

用法 1回2カプセル(80 mg/日、120 mg/日、160 mg/日)を1日2回、朝・夕の食中又は食直後に投与する。
試験の目的 急性増悪期統合失調症患者を対象として、ME2112を6週間投与したときの有効性について、ME2112 80 mg/日、120 mg/日のプラセボに対する優越性を検証する。なお、ME2112 160 mg/日については、プラセボに対する有効性を推定する。

この二つを比較した時、"投与量"自体は同じように見えます

その他の部分で違っていれば、話がまた異なってきますし、被験者の体の大きさ(体重)もポイントに入ってくるかもしれません。

すると、治験の方法に問題があるのかもしれませんが、局全く分かりません。

以上のように、今回の件について思いを巡らせておりました。

 

今回の件は、ラクオリアの業績にはそれほど大きく響かないとみていますので、持ち株はそのまま維持予定です。(立派な塩漬けですが)

ただし、CNS系の治験設計が難しいとはいえ、上市品を上市できないというのはすこぶる印象が悪い。(筆者の中で)

赤字転落のダメ押しもあるので厳しいでしょう。ゆううつです。

つくづくバイオに絶対は無いということを味合わっております。

 

そんな形で、本日もありがとうございました。

おわり。

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