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そーせい、世界水準の技術力の更なる進化~Full-SBDDの成就

こんにちは。shiroshiroです。

今日のお話は、今後のそーせいに対する握力に大きく影響します。

出来るかぎり皆様にも分かりやすく書いて、なんとか形なりとも理解をして頂きたいところ。

そのテーマとなるのがこちら、

Full structure-based drug design
(フル・ストラクチャーベースドラッグデザイン:完全な構造ベースの薬物設計)

です。こちらがポイントとなります。通常のSBDDと何が異なるのでしょう。

長年Heptaresに所属しているJonathan Mason氏が「can be game-Changing:ゲームチェンジャーになり得る技術」とまで言っています。

いったいFull-SBDDとは何者でしょうか?

 

まずはSBDDを理解する

まずは、SBDD(Structure-Based Drug Design:構造ベースの薬物設計)を理解しないとスタートができません。

先日作成した用語集にも、SBDDの項目は作らせていただきました。その内容ですが、

ポイント

・SBDD(Structure Base Drug Discovery)…
構造ベース創薬結晶構造情報をもとに、結合部位のカギ穴にあうカギ(薬)をデザインする手法。

つまり、理解した姿かたちから、カギ(薬)を作こと」ですね。

それでは「姿かたちとは何か」
それは「受容体とリガンドが結合したときの姿」にあたります。

鍵・鍵穴

・受容体(Receptor)…
生物の体に合って、外界や体内からの刺激を受け取り、情報として利用できる仕組みを持った構造のこと。鍵穴
・リガンド(Ligand)…
特定の受容体に、特異的に結合する物質、特定のカギ穴(受容体)で使える。

「姿かたち」のイメージ図。三つともすべて同じもの。表現の仕方が異なるだけ。

それでは「受容体単体だけでよくない?」という話ですが…
「取り出そうとしても形が崩れてしまう」ためNGです。

なら「どうやって、姿かたちを取り出すの?」となれば…
「"結合"しただけでは崩れるので不可。しかし、"結合後”に安定化→結晶化させる」と取り出せます。

これがそーせいの「StaR®テクノロジー」です。会社にとって大きな技術的アドバンテージになります。

 

Heptaresを買収した2015年の段階で、SBDD(構造ベース創薬)というのは、もちろん語られています。

しかし、この技術も万能ではありません。その理由として、

・①カギがそもそも別の鍵穴勝手に刺さってしまう
・②カギ狙いの鍵穴予想してない場所に刺さってしまう
・③カギが想定内の場所に結合しても、予想してない向きで刺さる
・④結晶は取り出せたけど、それが望ましい(一番効果のある)ものなのかわからない
・⑤鍵穴の中に動き続ける水分子があり、
正しく刺さったり、間違って刺さったりする

そんなことが起こるためです。姿かたちが分かっても、カギ(薬)を作るにはまだまだ課題があります。

 

実際、2015年の時点で、Fiona Marshall元CSO「StaR®技術によって、必ず創薬に成功するわけではない」という旨の発言を説明会でしていた記憶があります。

形が見えていても、想定外のことがあれば、どんな副作用が起こるかはわからないというわけです。

それがSBDDの現状です。

 

Full-SBDDの成就

では、SBDDに代わるFull-SBDDはどういうモノでしょうか。

SBDDでは①~⑤が問題になっていたわけですが…

まず④(望ましい効果)については大量の結晶データと、PK/PDを駆使することで判別が可能になります。

PK・PD

・PK(Pharmacokinetics)…
薬物動態。投与された薬物がどのように吸収、代謝、排泄されたかを解析する。どれだけ体内に存在しているかを見る。
・PD(Pharmacodynamics)…
薬力学。薬物の薬理作用を発現する時間的変化を定量的に研究する分野。どれだけその部位に作用しているかを見る。

次に、①、②、③(想定外の結合)は、結合のパターンを片っ端から調べていた模様です。(↓参照)

「多くの構造で、様々なレンジにおける想定外の結合箇所があることが明らかになった」の部分です。

これを実現させるには、StaR®技術のほかに、計算機科学を駆使した結合シミュレーションが必要になります。

たとえば↓のようなことをこれまでやっていました。

仮想リガンドスクリーニングアプローチなるものです。どんなものかは不明ですが。

とにかく「結晶データをもとに、後は計算力で調べ尽くす」という発想に近いかもしれません。

 

最後に⑤(水分子)ですが、去年の9月の段階でそれを語る資料があり、きれいにスルーしていました。

GPCR Drug Design comes of age: Structure drives rational design with key lessons and learnings to enhance future success
Jonathan Mason
GPCRs in Med Chem, Verona, September 2018
https://www.maggichurchouseevents.co.uk/bmcs/Downloads/Archive/GPCRs%20-%20Mason%20Jonathan.pdf (6.78MB)

この資料の要点はふたつ。

・鍵穴の中の水分子、結合にめっちゃ重要だよ。
・鍵穴の中の水分子、結合にめっちゃ重要だよ。(2回目)

だそうです。資料3ページ目を見ておいてください。

※Disclaimers(免責事項)のところで、
If you don’t agree with these personal experience-based opinions, that’s ok, but perhaps think upon them..
これの個人的な経験に基づいた意見に同意しなくても、それはOK。おそらくそれらについて考えてください。
とも書いているので相当におちゃめ。

もうちょっと補足します。

「結合に都合の悪い水分子(unhappy water)をどかすことがポイント」だそうです。

一般人には何を言っているのかよくわかりません。通常はスルー推奨です。

プロの方には+αで、「水を考慮に入れない、”force-fit”な(力ではめ込んだ)データに注意しろ」だそうです。

気になる方は後のページをご確認ください。

 

そういった形で、①~⑤まで克服した結果、SBDDの上位互換「Full-SBDD」の運用が可能になりました。

ちなみに、Full-SBDDという言葉自体は、2010年のスライドの段階からあったようです。

この時からとしても約9年かかっての成就となりました。

※引用元:Future Directions in Drug Design & Discovery(PDF) by Jonathan Mason.

そしてMason氏自身はFull-SBDDはゲームチェンジャーになり得る。」とおっしゃっています。

Full FBDD/SBDD now possible for GPCRs and can be game-changing 

 

いったいどういうことでしょうか?

 

どんどん加速する創薬

上記をまとめた時、「Full-SBDD」というのは…

"大量の結晶データ""水分子の働きと重要性を把握""(左2つを織り込むこと可能となった)精度の高いシミュレーション"れらによってできる完全構造ベースの薬物設計

という表現が近いものと認識しています。(もちろん他にも多くの要素有り)

 

左から順に、StaR®技術unhappy-water計算機科学(またはAI)が関与しているわけです。

さきほどのスライドの後の文章をピックアップして、ざっくり概要を話しますと、

A single ligand complex structure is generally not sufficient
1つだけの結晶データでは、一般的に不十分。

Waters play a crucial role in ligand binding and protein function:
水はリガンド結合、受容体の機能において、決定的な役割を持っている。

Solvent is as important as the ligand and the protein!
溶媒(水のこと)は、リガンドや受容体と同等に重要!

Computational tools available to predict water positions, relative energies & perturbations
水分子の位置、相対エネルギー、摂動(せつどう:小さな変化・ズレ)を予見できるツールができた。

GPCR structures continue to identify new allosteric binding pockets & “unexpected/predicted” elements
GPCR構造は、新しい結合ポケット(アロステリックな)&「予期しない/予測された」要素を特定し続ける。

何となくイメージが見えてきたでしょうか。

個人的には、「水分子の役割を理解できた段階で、ドラッグデザインが大きく変わった」というように読めました。(個人の意見です)

 

そして最後に、今回のTwitterで紹介したAbstractにつながります。

・Full structure-based drug design now possible for GPCRs including binding affinity prediction.
結合親和性予測を含むGPCRの完全構造ベースの薬物設計が可能になった。

・Full SBDD is now possible for the important G Protein-Coupled Receptor (GPCR) class of drugs, leading to the design of clinical candidates for multiple targets.
・完全なSBDDは、複数のターゲットの臨床候補薬の設計につながった。

 

結論は、「うちのパイプラインは240個だぞ。(田村CEO)」(参考)です。

去年のあたりから、候補物質がバンバン出ているのは↑に基づいたことでしょう。田村CEOも口からでまかせを言っているわけではない(はず)。

創薬が加速しているというのは、そーせいの資料で言われていたことですから、改めてそれが確認できました。

 

ちなみにこの後で人工知能(AI)が控えているので、進化はまだ続きます。

・Real Intelligence drives Artificial Intelligence / Machine Learning.
リアルインテリジェンス(=人の持つ本当の知能?)は、人工知能/機械学習を促進します。

優秀なデータはそれだけ優秀なAIを生み出します。R&D Dayではどのような話が聞けるでしょうか。

 

そんな感じで、Full-SBDDを取り上げました。話が難しくて申し訳ないです。

 

当初はR&D DAY特集でも書こうかと思ったのですが、大筋こんな話をするのではないかと思いつつ、文章にしました。

この記事はただの科学オタクのマニアックな文章にしか見えませんが、これをどう生かすかは皆様次第です。

 

直近の値動きにはなにも役に立たないマニア向けとみるか、それともそうでない見方をするか。

答えあわせはまだまだ先なので、じっくり待ちましょう。

おわり。

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