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エーザイ、アルツハイマー治療薬アデュカヌマブが治験失敗から一転申請へ

こんにちは。shiroshiroです。

10/22の即位礼正殿の儀の日に、エーザイから驚きのIRが発表されました。

2019年10月22日
デュカヌマブ 臨床第III相試験で得られた大規模データセットの新たな解析結果に基づき、アルツハイマー病を対象とした新薬承認申請を予定
https://www.eisai.co.jp/news/2019/news201979.html

シンプルにお話しすると、「見込み無しとして中止になった治験が、逆転で承認申請に行くことになった。」ということになります。

 

これを受けて株価は、10/21終値5,534円から2連続ストップ高を挟み、8,150円(10/25前場終値)と47%高にまでなりました。

時価総額は、約1.6兆円から2.4兆円と、8000億円のジャンプアップです。

いったい何が起こったのでしょうか?

まじめに書いていくと堅苦しくなりすぎてしまうので、たとえ話からスタートです。

 

バイオ株童話「3匹のこぶた」

今回のエーザイの件ですが、パッと頭に出てきたのがこれでした。

ここは童話調にして、一連のお話をしていきましょう。

 

~バイオ株童話「3びきの(うほ)(っしつ)(んさく)」~

 

むかしむかしあるところに、エーザイという名のお母さんと3びきのこぶたがおりました。

こぶたのなまえは、アデュカヌマブ、エレンベセスタット、BAN2401といい、みんなでなかよく暮らしておりました。

 

ある日、お母さんはいいました。

「ぼうやたち、いつかりっぱなおとな(上市的な意味で)になるためには、ひとりで暮らしていかなければなりません。」

「世の中にはわるい狼(アルツハイマー)がいます。ですから、りっぱな治験計画を立てて、自分の身を守るのですよ。」

旅立つ3びきのこぶた 引用:Journeys through Bookland(1922)

お母さんのいいつけとともに、家を旅立った3びきのこぶたたち。

1番目のこぶた、アデュカヌマブはわらで治験計画を立てて、3びきのなかでいちばん最初に1人暮らしをはじめました。

2番目のこぶた、エレンベセスタットは木の枝で治験計画をたてて、2ばんめに1人暮らしをはじめました。

3番目のこぶた、BAN2401はレンガで計画を作り始めました。しかし、おうちを作るのは大変で時間がかかってしまいます。

結局、コード名のまま一人暮らしが始まるのでした。

 

やがて、こぶたのにおいをかぎつけて、狼がやってきました。

するとなんということでしょう。

狼は、わらでできた治験計画を息でふきとばし、アデュカヌマブは2019年3月にたべられてしまいました。

次に狼は、エレンベセスタットの作った木の治験計画を息でこわそうとしました。

しかし、計画はこわれません。そこで狼は体当たりをしました。

すると、木の治験計画はバラバラにこわれ、エレンベセスタットは2019年9月にたべられてしまいました。

 

のこるはBAN2401だけになってしまいました。

2019年3月、遅れて家を完成させたBAN2401は、レンガの治験計画にこもります。

狼は息をふきかけ、体当たりをしますが、レンガの計画はこわれません。

狼はBAN2401にこう言います。

「へっへっへ。どんなりっぱな計画を作っても、ベータアミロイド仮説はおれさまの前にはむだだ。」

いくつもの企業の計画を食べてきたんだ。かならずお前の家もこわしてやる。」

BAN2401はぜったいぜつめいです。

 

しかし、そんな中だれも予想しなかったことが起こります。

狼のうしろで、いちばん最初に食べられたはずのアデュカヌマブが、土の中からゾンビとしてよみがえってくるではありません

これにはBAN2401も狼もびっくりです。

「被験者の数が増えたこと、高用量の投与期間がながくなったこと、高用量投与ができるようプロトコルを改定したこと、無益性解析の時期や判断基準が影響を与えていたんだわ。」

エーザイお母さんが、なぜか横で説明口調で解説します。

ドン引きのBAN2401と狼。

 

こうして、無事狼を突破したアデュカヌマブ(ゾンビ)。

りっぱな大人になろうと2020年のはやい段階で新薬承認申請をめざすのでした。

めでたしめでたし。

 

ストーリー解説

お疲れ様でした。

書いた本人が言うのもあれですが、はたしてこれはハッピーエンドなのでしょうか?

とりあえずそこは横に置いておきましょう。解説です。

 

3びきのこぶた、もとい、3件の候補物質探索は、もちろん実際に存在します。

・長男:アデュカヌマブ (抗アミロイドベータ抗体)
・次男:エレンベセスタット (BACE阻害剤)
・3男:BAN2401 (抗アミロイドベータ プロトフィブリル抗体)

エーザイの説明資料を拝借すると、それぞれ以下のように役割が異なっています。

・長男、産生したアミロイドベー(ピンクの丸)を除去する抗体
・次男、アミロイドベータの産生そのものを抑える化合物
・3男、アミロイドベータの凝集する中間であるプロトフィブリルを除去する抗体

 

狼や、わら、木の枝、レンガの治験計画はあまり深い意味はありません(笑)

遅れてやってくる分、完成度が高いはずという設定で書いています。

 

”「いくつもの会社の計画を食べてきたんだ。かならずお前の家もこわしてやる。」”

ここは実際にその通りです。

ベータアミロイド仮説によるアルツハイマーの攻略は、数多くの企業が挑み、そして現在進行形で散っています。

エーザイ自身が、説明会資料でそれを語ってくれています。

下は、2019年第1四半期(2019年7月末)時点のものですが、灰色の治験はすべてDROPしたものになります。

※エレンベセスタットはその後9月にDROP。アデュカヌマブは逆に今回復活。(LINK)

そして、童話のオチは22日のIRの通りですね。

お母さんが説明してくれた通りですが、復活の理由は、

被験者の数が増えたこと
・高用量の投与期間が長くなったこと
・高用量投与ができるようプロトコルを改定したこと
・無益性解析の時期や判断基準が影響を与えていた

ということ。つまり、

「高用量・長期間の投与がポジティブな結果をもたらした。」
「無益性解析のやり方が良くなかった。」

というように肯定的に見れば、そう読み取れました。(個人の意見です。)

 

今回の感想

今回のIRの内容というのは、賛否両論あると思います。

株価的にはもちろんポジティブですが、「本当に承認されるの?」という大疑問があるからです。

 

筆者自身は、IRを懐疑的に見ています。

もちろんこれは一個人の意見ですので、肯定的に見る意見を確認することもおすすめしたいです。

 

アミロイドベータ仮説に基づいた治験が、数多く散っていく中で、一度治験中止まで判断したものがなぜ復活するのか。

改めて中止したIRを確認すると、

"独立データモニタリングコミッテにより行われた無益性(Futility)解析の結果、本試験において主要評価項目が達成される可能性が低いと判断されたことに基づくもの"

とありますが、この独立データモニタリングコミッティ(IDMC:Independent Data Monitaring Committee)というのは、利害関係のある組織・個人から独立した委員会であると理解しています。

そのIDMCが治験中止を判断するということは、2013年のDMCガイドラインを元にすると、

・試験の中間時点で結果圧倒的にポジティブorネガティブ(無益性) であり,最終的な結論が直ちに予測可能な場合に,早期中止が検討される

引用元:データモニタリング委員会に関するガイドライン - 日本製薬工業協会
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/tiken/symposium/pdf/20130419/20130419.pdf

 

これがひっくり返るというのは、なかなか…

個人的には受け入れがたいものがあります。

肯定的に見ようとすると、高用量でよほど事態が好転したということになるのでしょう。

 

また、FDAの承認申請に行ったからといって、必ずしも上市間違いなしではありません。落ちるときは落ちます。

仮に承認されたとしても、米FDAから厳しい宿題(上市後治験:PhaseⅣ)がある可能性もあります。

 

果たしてこの先どのような結果を招くのか。

筆者はエーザイをあえて触ろうとは思いません。今日や週明けタッチすることも無いでしょう。

(※いまタッチして儲けられる人は、バイオ株でなく短期のセンスがある人と思っている)

仮に、満場一致の承認がされて、エーザイが今後大儲けしたとしても、縁がなかったと思ってスッパリ切り落とします。

 

行くなら行く、行かないなら行かない。

あいまいな態度では値動きにのまれて、お金を吐き出すだけなので、中途半端な姿勢でのぞむことだけは避けましょう。

 

本日は以上です。ありがとうございました。

 

おわり

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